日本美術会会員 村田訓吉(むらたくによし )

ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、ハマスの大量テロが発端になり、イスラエルのネタニヤフ政権がガザへの侵攻をハマス壊滅の為としてはじめたが、実際はパレスチナ人に対するジェノサイドとしか見えない最悪な状況になり新たな中東戦争の火ぶたが切られた。
このような状況の中で考えられる事は核を持つ国の覇権主義的動きである。考えると最初の扉を開けたのはオッペンハイマーです。
2023 年は広島サミットがあり、広島平和記念館の入場者が倍になったという事ですが、原子力サブカルチャーでは映画オッペンハイマーとバービー人形の実写版映画バービーの影響が大きいと考えます。
よく、「歌は世につれ世は歌につれ」と言います。「サブカルチャーは世につれ世はサブカルチャーにつれ」と私は言いたい。
映画オッペンハイマーは伝記映画では映画史上第1位を示し、興行収入も1400億円を凌ぐ勢いです。3時間に及ぶ超大作で原子爆弾を作った男オッペンハイマーを描いた映画です。日本では原爆を落とされた国と言う配慮なのか、公開が最初はせめて8月を避けて( わかりますよね)と言うような状況だったらしいですが、遅れに遅れ2024年の3 月以降になるそうです。ただそこに悪乗りした実写版バービーが、頭を原爆のキノコ雲の形にしたりオッペンハイマーとポスターでコラボしたり、すぐやりすぎだと認め撤回したのですが、これがある意味アメリカの真の姿ではないかと言う人もいます。今でも第2 次世界大戦は核爆弾があったからこそ終わったのだ、と思ってるアメリカ人は多くいるそうです。ただこのおかげで世界中に核爆弾を賛美することはどれだけ愚かな事かを証明してくれたのだと、ある意味感謝したいほどです。バービーのコラボはそれを狙ったものか、それともライバル映画を蹴落とす作戦だったのか、単なる悪ふざけだったのか、真剣にオッペンハイマーとバービーが組めば無敵よと言いたかったのかは定かではありません。
オッペンハイマーも監督がエンターテイメント性を強く推しだすクリストファー・ノーラン監督なのですが後半最後の方で後悔していたことを証すシーンもあるそうです。エンターテイメント要素が強くなければ3 時間の超大作を見るのは辛い事でしょう。
さて日本の状況はそう、でましたゴジラマイナス1です。紙面の都合あまり多くは書けませんが公開最初の頃は監督の今まで作った作品の宣伝のような映画だと言う批評が目立っていました。事実その通りの映画だとも見えます。山崎貴監督の過去の映画の色が大変濃く全編に現れていました。まず「永遠の0」です。マイナス1 はその続編ではないかと思うぐらいです。ゴジラを倒す作戦はまさに「アルキメデスの大戦」そしてゴジラのしっぽ振りアクションは「三丁目の夕日」が銀座4 丁目の夕日になってしまいました。そしてゴジラ細胞は「寄生獣」を思い出します。本当にオンパレード山崎貴監督の映画なのですが、これらを知らない人から見ると全てが斬新で素晴らしい映画になっているのです。原点に戻り怪獣を使うエンターテイメントでありながら反戦映画であり、原爆の恐ろしさそしてアメリカは助けに来てくれない。アメリカが助けにはこないところはまた出来れば次号で考察します。そして最後には命の大切さ、涙と共に未来への希望。本当に恥ずかしくなるほどごてごてな正統派ともいえる作品だと評価できます。案の定それまでの監督の作品を知らない海外では大成功を収めています。それがさらに日本にも火が付きゴジラマイナス1 の勢いは止まりません。
さて2024 年にはオッペンハイマーも日本で公開されます。ゴジラマイナス1と一騎打ちがたぶん次号になりそうですが、その時ウクライナやガザは核を持っている国からの攻撃を凌いで頑張っていてくれることを心から願いたいです。そして第5次中東戦争に拡大すればイラクも核をもっています。核戦争の危機は遥かに迫ります。私たち極東にもその影響は侵攻してきています。
テロや内乱戦争だけでなく自然災害や温暖化による影響で更に人類は地獄を味わうことになりかねません。最後に如何に核爆弾が恐ろしいか再度認識しましょう。広島では8 月6 日に一発の原爆が落とされ12 月までに14 万人が亡くなられました。長崎では7万4 千人。現在は一発でその1000 倍にもなる原爆があると言います。100 万都市に落とされたらそれこそ一発で100 万人を優に超すことでしょう。核抑止力と言う言葉は戦争する国を目指していると言うのが本音でしょう。核無き世界を心から祈願して次号が発刊されることに希望を残したいです。
日本美術会会員 村田訓吉(むらたくによし)
1974年から何度か呼び方は変わりましたが、愛と平和と地球と子ども達の再生可能な未来と言うコンセプチュアルアート製作継続中。NUC IS OVER GO GO GO。
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