平岩允 回顧展を見て 2018年6月好文画廊

木村勝明

 学校の美術の先生を長く勤めていらっしゃった方で、全体を見て、しっかりと課題を見つけて描かれて来たのだな~!と感心した。特に日本の近代文学の作家たちをシリーズで描いた作品は構成画としてしっかりとした充実感があった。この方の生き方が反映しているのだろうと思う。初期の自画像・静物・人物画も完成度の高いものがあって、充実していた。

 日本美術会の平岩攻さんと結婚されて、彼は早く亡くなられてしまったが、彼の遺作も瀬戸の風景を数点展示されていた。彼の小学校の水彩画の工場風景はびっくりした。これを選び展示したことは、彼女の美術教育者としての慧眼と思った。

 このようにしてご自分の作品を回顧展として冷静に展示し、顧みる知的な眼とその努力は称賛に値する。日本美術会の付属研究所の「土曜講座」に来られていたことは聞いたが、平岩攻夫人という事しか認識が無かった私に、画家のChikaさんとして認識を改めさせてくれた。