在日の韓国人では二人目と聞いた。実は韓国文化院で講演会が予定されていたが、今回の受賞で祝賀会に変更し、1時間の講演と祝賀パーティーに変更された。山梨の北杜市高根町で開催されている「浅川兄弟を偲ぶ会」で10年ほど前だろうか、この人と会って、それ以来、光州との日本美術会の美術交流もあって、「美術運動」誌に批評など書いてもらったり、交流に少し絡んでもらったりした。そういう経緯もあって、祝賀会への招待案内があった。
この河正雄さんは今年9月に、全羅南道霊岩郡に河美術館がオープンして、2700点の美術品を寄贈し、郡立美術館として開館した。個人の名を付けたパブリックな美術館は韓国国内で最初の出来事らしい。河さんは光州市立美術館の名誉館長をされている。もちろんここにも数千のコレクションを収めた。他に韓国内の10の美術館に合わせると7000点の美術品を寄贈しているという。凄まじいコレクターである。彼はこうした行動を一人メセナ(芸術の擁護)と呼んでいる。
祝賀会の記念講演は、彼の辛い人生とそれをどう乗り越えたのか?という道筋の話だったかと思うが、力強くも心情に訴えるものだった。いろいろな苦難や偏見を乗り越えて、また、仕事上での成功を元に在日美術のコレクターとして名を広め、朝鮮労働者の無縁仏の供養から、視力障害施設の援助とたゆまず活動し、この世界でも例を見ない一人メセナとしてのコレクションをして韓国美術館へ寄贈をした。他の資料類も入れると1万件を超える規模であるらしい。講演の締めくくりに、禅の言葉の「露堂堂」という文をみなさんへ示したが、これは浅川巧への安倍能成の追悼の文から探したものらしい。良い事も悪い事もみな露わになる。という意味らしい。河正雄(ハジョンウン)72歳の受賞に心から乾杯したい。(編集・K)
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