今や日本の富裕層たちの象徴となった六本木ヒルズのタワー内部で「ONE PIECE展」というイベントが開催された。
なぜ僕がこのイベントに着目したかというと、日常で気軽にコミック雑誌を読む僕にとって、色々と疑問を感じる部分が多いだけでなく、一つの展覧会としてインパクトが強いのも事実だからだ。伝統的な日本の『漫画』が、アニメ化や実写化をされることにより壊れる部分も多いと個人的に感じているのですが、一概にそれがダメだとも言い切れないのです。
さて、この展覧会の原作コミック「ONE PIECE」はタイトルの表記でわかるように、文字本来の意味は、「服のワンピース」であり「一つの平和」ではない。しかし、平和の「PEACE」の意味ともかけているのは誰もが知っている。僕もどちらかというと「平和」のイメージをこの作品に対して抱いていました。原作の「ONE
PIECE」は、僕が小学生の頃にコミックが発売され、テレビでアニメ化もされたのですが、当時は特に人気というわけではなかった。しかし今では老若男女がこの「ONE
PIECE」を読み、アニメや映画を観て時に涙を流す。『海賊マンガ』としては世界一の人気があると認めざるを得ないくらいの人気作品だ。漫画の表記を一気に「マンガ」、「MANGA」へ変えた作品の一つでもあると言えるだろう。しかし僕は小学生の時にすでに「ONE PIECE」を読むのをやめた。
その理由は様々だが、どうしても「ONE PIECE」の世界では(歴史上の)「海賊」のイメージを抱けないし、やはり戦闘シーンを観るのが苦手なのです。
そういう固定観念を抱えた上で六本木まで観にいったのですが、当然カップルや友だち同士、あるいは家族で来ている人が大多数で、まるで某有名リゾートのような長蛇の列がありました。
その列が進むにつれ見えてくる各ブースでは、イラストや、「ONE PIECE」の歴史などが展示されていた。
この展覧会のサブタイトルは「原画×映像×体感のワンピース」であったので、僕はてっきり映像に力を入れているはずだと思い期待していたのですが実際は「原画」の公開に一番力を入れていた感じを受けました。
特に驚いたのは、白人さんが主人公ルフィの原画を見て涙ぐんでいたことです。色々と突っ込みどころはあるけれど、漫画やアニメを展覧会形式にしてここまで人を集められる漫画というのは今のところ「ONE
PIECE」しかないのだろうと思う。ではなぜ、漫画がここまで多くの人々を惹き付けるのか、はっきりとはわからない。しかし、毎回そういうイベントに足を運んでいつも疑問を抱くのは、展覧会なのに他者との関わりがほとんどない、という点だ。
例えば今回の「ONE
PIECE展」でさえ、「周りの仲間を思いやる」だとか、「誰でも一人では生きられない弱さを持っている」など割とシンプルで伝わりやすいメッセージを発信していて素朴に感動できるのですが、やはりその場の仲間内で感動して終わり、という人たちがほとんどで同じブース内でも知らない人に対しては全く無関心、という温度差に違和感を感じていました。そして、館内での写真撮影や録画が禁止されているがスマホでmixiをいじっている人やニンテンドーDSでゲームをしている人もかなり存在していて、僕は「何しにきたの???」と思ってしまった。
あまり他人のことは言えないのですが・・・。
これも多様性として受け入れるべきなのだろうか・・・。
それから帰って色々な人の話しを聞くと、日本での「海賊」の定義と海外での認識はかなり違うようで、外国の人たちもたくさん見にきていたのも意外だと感じています。おそらくあの海賊映画も観ているはずだ。皮肉にもそれは某有名リゾートがつくっているのだが・・・。
それはさて置きなぜ英語圏やフランス語圏、スペイン語圏など、日本語をそこまで完璧に読めない人たちが(ほぼ)日本語でしか書かれていないコミックの原画を見て涙を流すのか…、、、。
どんなに考えても答えが出ない現象が起こっている。
それと同時に、漫画の(悪い意味での)商業利用について自分なりに考えています。現代漫画は確かに商業的な要素を持っているとしても、アニメや映画で十分なのになぜ、展覧会までやるのだろうか・・・。
展覧会だけならばいいが、その展覧会の出口で今度は大量のグッズ販売が待っている。多くの人が記念料理を食べながらグッズを買い、一日で1万以上つぎ込んでいる。本当に好きならばそこまでする気持ちはわかるが、
原作コミックのみを読んでいる人の中にはイライラする人も多いのではないだろうか。
けれども、その中に「自分で何かをつくり出す」という熱を持っている人は少ない。こういうひねくれた文章を書く人は同世代では本当に少なく(?)、そもそもアニメを批評してどうするの?とバカにされて当たり前なのです。でも僕にとって「アニメとマンガ」はこれから生きていく中で常に話題になる分野なので、自分の考えを書き記すということは重要なのではないだろうか・・・と思う。
個人的に気になったことは、ランチメニューで唯一のアルコール飲料である「ライムカクテル」については赤い文字で、<※こちらはお酒となります 未成年の飲酒は固く禁じられております>とだけ書いてあったのですが、これは少なくとも正しくは<※こちらはお酒となります 未成年の飲酒は”法律で”固く禁じられております>であるはずなのに、やはり未成年でもバレなければ飲んでよし、ということなんだろうと思うとなんだか腹がたった。撮影や録音、模写は禁止しても未成年の飲酒についてはまるで規制しないことに関しては誰も文句を言わない。その逆なら僕は納得できるのだが・・・・。
とは言っても僕が足を運んだのはやはり「ONE PIECE」も僕の日常では
かなり重要な位置にある漫画なので、せめて原作コミックを読みかじり、
なぜ友だちにワンピースファンが多いのか、個人的な意見も聞いてみたいと思えるきっかけにもなったので、ある意味では価値があったと思えた。
「もと」はとれたのです。
最後に、、、
一様に「海賊」や「船」、または「漫画」「アニメ」と言っても、
ネット社会が当たり前になっている今、単語レベルでそれぞれ認識も価値観も違う。ネット検索で「ONE PIECE」を初めて知った人も多いと感じる。「ONE PIECE」が「ONE
PEACE」のつづりではないことに気づいていない人もかなりいる。そして、漫画と大企業とのつながりに嫌気がさす人もいるのも事実だ。人気を得た漫画が商売をはじめる瞬間に、金を持っている人じゃなければ読ませない、という差別的認識を持ち始める。にも関わらず、不法アップロードなどに関しては激しく規制する姿は正しいのかわからない。アニメやイベントに関しては数多くのスタッフの努力で完成されるのに、いつも取り上げられるのは主に著者や発行者だけだ。実際にそれらをつくりあげた関係者たちがなぜもっと大切にされないのか、まだまだ認めたくないことがたくさんある。
しかし鑑賞する際には常につきまとう問題なので、たとえそれが映画館だろうが美術館だろうが、特設の会場だろうが、個人的にしつこく追求していきたい。自分自身にかなり欠けている要素だとわかっているので尚更、、・・。
ちなみに六本木周辺はどんなに批判しようと、日本では最先端の場所でもあるので今後もこまめに足を運ぶつもりだ。大地震で沈没してからでは遅い気もするのです。
昌人_人23
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