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原子力サブカルチャー3

2014年9月26日にリアル世界でアニメと現実の奇妙なリンクがありました。現実の世界で東京都市大学学長北澤宏一先生が亡くなりました。アニメの世界ではフジテレビ系深夜番組でのアニメ「残響のテロル」の最終回でした、これがどのようにリンクしていたか書かさせて頂きます。

 北澤宏一先生は東京都市大学学長以前に福島民間事故調委員長であり、その後原子力規制庁を作られるのに尽力された人です。311福島事故を調べその状況と海外での再生可能エネルギーの実情を調べて著書「日本は再生可能エネルギー大国になれるか」を書かれています。その著書に書かれてるように北澤宏一先生は一貫して再生可能エネルギー推進を叫んでいました。


 私が北澤宏一先生とあったのは20数年前のことでした。私達二人はバックミンスターフラーの話で息統合して友達なりました。(注バックミンスターフラー( 1895.7.12〜1983.7.1)は生涯にわたり宇宙船地球号という概念を広め、私達人類がこの宇宙で生きて行くためには、この地球号という宇宙船を間違えなく操縦していかなければいけない。循環する自然体系や生物の多様性が必要だという事はもちろん共有する富を気づく事が大切だと教えています。その教えはヒッピー達の元祖だとも言われている詩人であり学者であり建築家の学者です。)始めてあった頃の北澤先生は超伝導の研究で世界的に知られていました。北澤先生とサッカーボールの形をした分子C60がバッキーボールやフラーレンというのはバックミンスターが発明したジオデイマジックドームにそっくりの構造体でできているからという話から始まり、バックミンスターフラーの宇宙船地球号という考えに深く共感したのです。最後に交わしたフエイスブックでのメッセージの言葉も「バックミンスターフラーを思い出したよ」でした。311以前から脱原を叫んでいた私に北澤宏一先生は「脱原を叫ぶより再生可能エネルギーを推進したほうが結果的に脱原は早いよ」といわれました。その言葉に押され、北澤宏一先生に顧問になって頂き再生可能な未来という科学と芸術のコラボのチームを作りました。何度か北澤宏一先生の講演を企画したり、各地の展覧会で再生可能な未来という作品を展示して来ました。今年になられてから北澤先生は東京都市大学の学長になられ東京都市大学と日本科学未来館の連携等で忙しくすごされていました。


 残響のテロルはフジテレビで7月10日に始まります。物語は青森核燃料再処理施設からある物体がたった二人に強奪される事から始まります。プルトニームが強奪されたと報道されましたが、実は小型原子爆弾でした。そして最後には東京上空大気圏外で原爆が爆発します。大気圏外なので放射線は宇宙に散っていき人体への影響はない爆発でしたが、犯人の二人は国家による人間改造アテネ計画でトゥエルブとナインと番後腕呼ばれた少年でした、彼らはスピンクスと名乗り憲法改憲から始まる秘密裏に進められた投薬等による人体実験による人間の改造や原爆開発を実行的に暴露したのです。


最後に思い出の地に戻ったスピンクスにヘリコプターで奇襲してきたアメリカ軍にトゥエルブが狙撃されます。残されたナインは『原爆はもう残っていないがこの国にはそれに匹敵するものが無数にある』『爆弾はその中の一つ 原発の中に仕掛けてある』と言い起爆装置を出します・・・。簡単に説明しましたが、説明しきれない内容があり、全編をどのように理解し見るかは人によって変わりますが、2014年にこのような連載アニメがテレビで公開されていた事を知っていただくだけでも良いと思います。是非興味が在る方はご覧ください。


 北澤宏一先生は良くこう言っています、「原発の恐ろしさはテロが最も怖い」と、私が「戦争や経済破綻で管理されなくなった原発も怖いですね」というと「原発は全ての電源装置を破壊すれば間違いなく暴走する、あらゆる安全対策は今までもこれからも経済効果に見合わせた対策しかされない、なぜならば本当の安全などは無いからだ、原発はいずれ壊れるものだから」と真剣に言われています。原子炉は、特に老朽化した原子炉は壊れる前に安全に廃炉にするしかないのでしょう。原発をエネルギーとして選んだのがそもそも間違いだったのでしょう。


 原発テロを最後に叫んで終わった、「残響のテロル」の最終回が9月26日でした、それを見ていた私は「残響のテロル」は原子力サブカルチャーだけでなく、311以降の安倍偽首相による違憲状態政府の暴走である憲法改悪や集団的自衛権や秘密特定保護法も考えにいられた脚本に感心して原子力サブカルチャー3には「残響のテロル」を書こうとその時思いました。それから数日して同じ9月26日に「原発はテロが最も怖い」と言っていた北澤宏一先生が亡くなったことを友人から知らされたのです。


 北澤宏一先生は酒はほとんど飲まない先生ですが、酒好きの私に良く付き合ってくれました。その時でもビール一杯しか飲まない先生ですが、急性肝不全で亡くなられたそうです、聞くところによると一ヶ月程生死の間をさまよったとも聞いています。今思えば、先生が少しでも安全な原子力発電を望んで原子力規制委員会を作られたのに、原子力規制委員会の態度が軟化して川内再稼動の安全性を認めたことはさぞや残念だった事でしょう。


最後になりましたが再生可能な未来で出版する「地球方程式」に北澤宏一先生が以前、再生可能な未来に頂いたメッセージを掲載させて頂きました。一部抜粋させて頂きます。


「・・・さらに、これから、日本も含めてエネルギーを軸とする世界の「地球環境イデオロギー時代」が始まると感じています。

 

イデオロギーとは私達の日常生活を規定するだけでなく、国の政治や外交までに影響を与えます。20世紀には政治イデオロギーでは社会民主主義と自由民主主義、経済イデオロギーでは共産主義と資本主義の拮抗するイデオロギー時代がありました。21世紀には地球環境をまもる錦の御旗がいくつか示される事になると思うのです。

 

未来に向け、若者たちが夢を持つことのできる方向を選択していく事が、私達、先に生きている世代に課された義務ではないでしょうか。」

 

 

 

記 北澤宏一

村田訓吉