カテゴリ:151



ネパール・ アートビレッジ・プロジェクト
エッセイ · 2024/09/23
「アートで世界を救えるか」  パリのシャルリー・エブド社襲撃事件、シリア空爆の続く中、本誌に金田が『アートで世界を救えるか キッズゲルニカの20年』を寄稿したのは2016 年である。そうした問いを抱きながらキッズゲルニカ (www.kids-guernica.org) の活動を継続してきたが、ロシアのウクライナ侵攻、ハマスの人質事件、イスラエルのガザ地区攻撃と最近の世界情勢は混迷を深めている。
首藤さんと私
エッセイ · 2024/08/14
 2023 年4 月12 日、首藤教之が逝った。90 歳だった。  首藤さんとは2006 年、ノー・ウォー美術家の集い横浜のパーティで初めてお目にかかったと記憶している。修士課程を修了し当ても無く彷徨っていた私は、2004 年に池田龍雄と出逢い戦後美術や暗黒舞踏のアーティストの紹介を受け、小さな雑誌や展覧会のパンフレットに批評を書きはじめていた。2006 年とは、横浜市芸術文化振興財団(当時)が運営するZAIM のアルバイトと、横浜の専門学校の非常勤講師、週刊新聞「新かながわ」での展覧会評等が始まったのであった。

2023 日本美術会シンポジウム
社会と美術 · 2024/08/14
基調提案:薮内 好(理論部)からの提案はA4-6 枚の本文、30分のスライド上映と説明でした。日本美術会「会報NO.144」にその本文と3 名の創作体験報告者、寺川真弓・中田耕一・韮塚作次から提出していただいた資料が全文掲載されています。本誌にそれを再録するのは無理がありますので、会主催の総会を挟んだ各年開催のシンポジウムが、このコロナ・パンデミックの困難の中、ようやく再出発した様子を写真構成します。
働く人としての美術家 ―神戸市立小磯記念美術館「働く人びと」展
美術評論 · 2024/08/14
 絵画表現に「労働」というテーマの熱い時代があった――昨年、神戸市立小磯記念美術館で開かれた、小磯良平生誕120 年特別展「働く人びと 働くってなんだ?日本戦後/現代の人間主義(ヒューマニズム)」は、そんなことを考えさせる展覧会であった。

日本美術会と美術家の戦争責任問題(1)-序文に代えて-【後半】
戦争と美術 · 2024/07/28
「藤田スケープゴート」説 (夏堀全弘『藤田嗣治芸術試論』)をめぐって  なお「内田の藤田追放」説と対をなす俗説に「藤田スケープ・ゴート」説(藤田は日本の美術家たちの身代わりとなって戦犯の罪を負った、あるいは負うよう説得された)がある。こちらは2016 年の藤田展の際にに示された「と説得されたとといいます」という文言と内容がほとんど同じだが、それは主に藤田自身の「言いふらし」がもとになったものらしい。いずれにしても両俗説の内容は実質的にはほぼ同じであり、ここでは簡単に触れるだけで十分だろう。
日本美術会と美術家の戦争責任問題(1)-序文に代えて-【前半】
戦争と美術 · 2024/07/28
北原恵氏の論文の意義  『美術運動』前号(No.150 2023.3)に北原恵氏の論文「日本美術会『戦犯リスト』をめぐる、いくつかの疑問』」が掲載されている(同上 p.14~21)。私が表記のテーマにより草創期の日本美術会(以下、日美)、が直面した美術家の戦争責任の追求という重要問題に取り組むことを決めたのは、私自身も戦争責任問題に関心を持っていたせいもあるが、実は同論文に誘われた、いや鼓舞されたからである。

「《クォ・ヴァディス》の秘密 ~シュールレアリズム画家北脇昇の戦争」にみる北脇昇と草創期の日本美術会
戦争と美術 · 2024/07/13
2023 年7 月2 日、NHK-E テレ「日曜美術館」で「《クォ・ヴァディス》の秘密~シュールレアリズム画家北脇昇の戦争」が放映されました。ご覧になった方も多いと思います。  北脇昇氏は日本美術会の創立会員で、1947 年に京都支部ができた時には支部長もされていた方です。ご病気で1948年に支部長を退き、1949 年に「クォ・ヴァディス」を発表し、1951 年に亡くなられています。 
ガザに明日はあるのか
戦争と美術 · 2024/06/08
もう手遅れだ!! ハマスの攻撃と人質作戦は誤算だった。犠牲があまりに大きすぎた。パレスチナの怒り、忍耐が限界であったことはよくわかる。パレスチナの怒りがマグマになって爆発したのだ!! しかしネタニヤフのあの残忍さはイスラエルのヒトラーだ。救いがない。無差別の攻撃がガザを破壊しつくす。人の心までも。無差別に病院、学校、商店、住居等。私の招待したガザの画家達の画廊も破壊された。ハワジリの親族10 人が殺された。イサの母親、甥も殺された。まるでホロコーストだ。ネタニヤフは民族浄化をねらっている。パレスチナ人は存在しないし領土は全てイスラエルのものだと入植を繰り返している。

反ユダヤ主義検閲に見るアートの限界とウクライナ、エコロジー。
美術評論 · 2024/06/08
 現代アートは「炭鉱のカナリア」、最初に最初に鳴くのをやめて危険を警告する予言者の立場もある。2019 年、あいちトリエンナーレにおける「表現の不自由展事件」の際、初代森美術館館長、デヴィッド・エリオットは、芸術の役割を炭鉱のカナリアの比喩として語った。  その意味ではヴェネチア・ビエンナーレはつねに予言的な役割を発信してきている。それだけ世界美術が時代性に密着している証拠だ。