黄金比


 眞住 高嶺

春のアンデパンダン展は3月17日からだ。
搬入に間に合うように制作を急いでいる。君に出会う時間がとれない。
そこで2:√5の方形の作図と作例を図に描こう。
√5をフジサンロクオオムナクと習った高校時代、数学の授業が眠たくなった。

黄金方形の中に正方形をとると、次々と黄金方形ができる。
対角線の交点は螺旋の焦点となる。中三の数学にオオム貝の写真と一緒に載っている。60年昔は習わなかった。

「水浴」が黄金方形の中にある螺旋の上に組み込まれた人物の偶像である事はこれでわかっただろう…

イメージを幾何図形(黄金比)に重ねて構図を作る。人体の不思議なポーズも組み立ても古典絵画のもつ比例の美を追求するためだ。

 

 

2:√5の形を2つ繋げれば1:√5のキャンバスが出来ることは図解で分かったはず。
前の図の左右を入れ替えると下の図になる。

最終版のゲルニカは黄金方形のもつ古典的構成になっている。


1:√5の長方形の中に四つの黄金比方形をとれば、ピカソの構成の狙いが見えてくる。

黄金方形は中に正方形をとれば残りが●●の黄金方形になる唯一の長方形なのだ。
親と子の長方形に対角線を入れれば、続々とできる長方形のどれも同じ一点で交わることになる。初めてコンパスと定規で描いたとき、ぞくぞくする美しさを感じた。
描いてみることだ!

どこまで縮小しても終わらない、倍率を上げてみても同じ形が繰り返す。
「神聖な比率」と呼ばれるわけだ。数学者は「神の目」と呼ぶよう提案している。

この点にピカソが描いたのは、牛の目と馬の目なのだ。ランプを持つ女の頬と手を上げる女の顔の口にもあたる。

複雑な組み立てを統一する骨組みがしっかりと在ること、ピカソが身につけた数学的な裏づけ、キュービズム発案の頃、数学者の親友が居たということも頷ける。

今日はここまで、次はフェルメール。ルソーは最後にしよう。