ケニア サイディアフラハの子どもの絵 Ⅱ


 荒川 勝巳

「サイディア・フラハ」HP 

http://www.geocities.jp/hiroki_site/saidia/

私は最近ほかの用事が忙しくなり、あまりプロジェクト小学生の絵の面倒をみられなくなってきた。そこでケニア人のソシアルワーカーの女性にお願いして、絵の面倒をみてもらうことにした。

 私は彼女へ子どもが絵を描くことの重要性、創像力・想像力・表現力を養うことや気分転換となることなどを説明。なるべく子どもの絵はほめてもけなさないように、お願いしている。しかし一般のケニア人は学校の授業に図画・工作の時間がないため子どもの時に絵を描いたことがないせいか(富裕層の子どもが通う私立の小学校では図画・工作の時間はある)、この「子どもの絵の面倒をみる」ということが、どうにも苦手らしい。

 私が絵の時間に教室代わりのダイニングを覗くと、ソシアルワーカーの女性は自分で絵を描いていたり、あるいは本を読んでいたり。子どもたちは10分ほどで絵を描き上げ他の授業の宿題をしたり、外に遊びに行ってたりしていて、絵を描くことに熱意が感じられない。

 幼い頃からプロジェクトで絵を描いていた子どもたちが成長してプロジェクトを離れてしまい、いまでは新しくここへ入ってきた子どもが大半。しかもプロジェクトの方針で13,4歳以上の女の子を多く受け入れるようになった。(ケニアの小学校は8年まであり、ここへくるような子どもは家庭に問題があって就学が遅れる)彼女らはここへくるまで絵を描いたことがなかったので、絵をどうやって描いたらよいかわからない。自分で絵をつくりだすというよりも、他の子どもの絵や本の中にある絵を写そうとしたり、自分で引く線に自信がなく定規で線を引いたりしている。

 そうこうしているうちに、今年の5月に千葉県成田市で毎年開かれる「国際こども絵画交流展」出品の話が持ちあがった。このように下手なこどもの絵を出品するのは気が引けたが、プロジェクトの宣伝になることから、出品することにした。

 締め切りが迫っていたので、子どもたちはそれほど枚数をこなせなかったが、私は子どもたちが絵を描くときになるべくいるようにした。そしてようやく一人1点ずつで15枚の絵を日本へ送った。

 11月はじめにこの展覧会が成田市であったので、私はみにいってきた。この展覧会には日本のこども300点と世界中のこども500点の絵が、広い会場をパネルでしきって所狭しと飾られていた。全般的に、「大人顔負け」的で技術に優れた絵が3分の2で、いかにもこどもらしい野放図な絵となると、意外と少ない。世界中からきているわけだが、50あるアフリカの国では、エジプトとサイディアフラハのケニアだけしか出品されていなかったのは淋しかた。

 これら世界のこどもの中でみたサイディアフラハの子どもの絵はというと。技量的に見れば、やはり最後のほう。しかしみんなのびのびとした子どもらしい絵だったので、少し救われたような気がした。         (サイディアフラハ・あらかわかつみ)